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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
彼女が使った後の濡れたタイルの上を踏み、シャワーノズルをの手に取る。お湯を出して、反対の手で温度を確かめ、やや温めに調節してから身体を流しはじめた。
俺の内部でメトロノームの針が、カチカチと左右に振れている。右側が松川土埜との激しい情事への期待であり、左側が瑞月をはじめとするいくつかの険しい顔であった。ここ数日の行いをしったら、瑞月には絶縁されてしまうかもしれない。
針の振り幅が左右均等に、どんどんと大きくなっていく。しかし、わかっている。そんなものは打算にすぎず、メリットとデメリットの比較でしかない。
可能な限り欲望を抑え、心の奥底を探った。俺が真に懸念すること。それは、彼女の本質を理解しないままに、彼女を抱いてしまうことだ。
身体を流し終え、シャワーを止める。
「……!」
彼女と色違いの水色がかったバスローブを着て戻ると、部屋全体の灯りは消され関節照明だけが妖しくベッドの上を照らしていた。その傍らに、彼女は俯き座っている。
最早、おどけた調子で話しかけられる雰囲気ではない。ベッドのところに行き、彼女と肩を並べて座ればそのまま、どちらからともなく唇を重ねるはずだ。容易に想像することができる。
「……」
そうしてしまいたい気持ちを懸命に抑え、俺は彼女の前に立ち、その姿を見下ろす。言葉をかけようとするが、考えが纏まらなかった。
すると先に言葉を発したのは、彼女の方だった。
「いいんです」
「いい?」
「はい。私のことは軽蔑しても、たとえ嫌いでもかまいません」
「どうして?」
「ですから、理由なんて気にしなくてもいいんです。別荘に滞在中、どうか私を自由に扱ってください。抱いてくださるのなら、どんな欲求にもできる限りお応えします。他にはなにも望みません」