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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由


 無我夢中だったのは、お互いだったと思う。だが、真っ直ぐに向かってきた彼女に対し、俺の方が少し怯んだのは確かなのだろう。結局は、戸惑いのすべてを消せなかったということ。

 裸でもつれ合うようにベッドに押し倒し、激しくキスを交わした。だが、互いの身体を弄る最中、気がつけば上になっていたのは彼女の方。キスを続けながら豊満な胸を自由にさせ、右手では俺の股間を扱き上げていた。

 清廉なイメージを覆す行為との、ギャップの激しさにも圧倒されてしまう。

 松川土埜は俺に抱かれなくても、誰かに抱かれるという。彼女の過去を聞いても尚、その心理は理解し難いが、しかし話を聞いた以上ほっとくこともできなかった。彼女は辛い過去を話した上で、できれば俺にと懇願しているのだから。

 もちろん、そこに恋愛感情がないことは承知している。ならば行きずりの男と大差はなく、すべては彼女の魔性に屈した言い訳なのかもしれないが……。

「待って」

「……!?」

 男の力を利して、一気に体勢を入れ替えた。ベッドに寝転んだ絶妙な肉づきの肢体を見下ろせば、今度はこちらからむしゃぶりつきたくもなる。

「松川さん、そんなに慌てないでくれない?」

 だが、その劣情ぐっと堪えて、彼女を見つめた。

 相手の積極さに押されて焦りを感じたのは、高坂文水にも謎の相手にも、あしらわれた感覚が残っているからに他ならない。満たされた性欲に反して、少なからずストレスが募っている。何事であっても、やられっぱなしはよくないということだ。

「わ、私、別に……」

「急がなくても、俺は逃げないから」

 微笑みかけると、彼女は少し乱れた息遣いを整えた。

「すみません……。確かに、夢中になりすぎてました」

「大丈夫。ゆっくりでいいんだ」

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