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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
「あのさ……一応は俺って、瑞月の兄なんだけど」
「うん、しってる。さっきも自分で言ってたじゃん」
「わかってるなら、そのタメ口はどうなのって」
「へえ、随分と細かいこと気にするんだ」
高坂さんは言って、はじめて俺の顔をまじまじと見つめた。
身体のラインにピタリとしたトップスにショートパンツという、夏らしくド直球な露出の高い軽装。小麦色に日焼けしている、しなやかな手足も惜しげなく晒されている。そんな恰好だったりプラチナカラーのウルフレイヤーの髪型にしても、派手な印象を受けるのは必然だろう。
だけど、改めてよくよく顔を合わせると、メークはむしろ控えめだとわかる。鼻梁が真っ直ぐ通っていて、こちらに向けた眼差しからは気の強さも窺えた。
「別に、どうだっていいんだ。ただ、一応はこっちの方が年上だろうと思ったから」
「そうとは限らないよ? 私、回り道してるから、あの子たちより年上だし」
「回り道?」
「そ、二年間。仕事してさ、学費とか工面したわけ。ま、自分の分はついでだけどね」
「そう、なんだ……」
瑞月より二つ上という子とは、俺の一つ上ということになる。タメ口がどうのと難癖をつけたことを、少し恥ずかしく感じた。単に歳の話ばかりではなく、自分で働いて学費を工面したという話にも、ある種の引け目を感じる。特に現在の俺は……。
「さっきのは――」
すいませんでした。打って変わって敬語で謝罪を口にしようとした俺に先んじて、彼女は言った。
「ということで、タメ口でいいよね?」
ポンと肩を叩かれ、同時に屈託のない爽やかな笑顔を向けられた。
「うん、もちろん」
「フフ、じゃあ、そういうことで」
その時の顔は、俺の抱いていた第一印象を覆す、とてもいい笑顔だった。つい、じっと見入ってしまうほどに――。