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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
「ありがとうございます。だけど、そういう意味ではありません。お話したように、私は少なくとも数日に一度は男性を求めます。仮に一緒に暮らしていたら、毎晩求めずにはいられないでしょう。たとえ相手が嫌がっても――今のように、無理やり迫ってしまうのですから」
「たとえ、そうだとしても。その都度、不特定な相手を探すよりは、ずっと健全じゃないか。恋人になる人が理解をしてくれれば、現状の改善にも繋がると思うし。なにより松川さん自身、多くの安心を得やすくなるはず」
「私もそう考えて、特定の方とおつき合いしたことがありました。ですが結果的に、私はその彼をボロボロにしてしまったんです」
「なぜ?」
「やはり毎晩の情交となれば、彼は疲弊を隠せなくなります。私に対していくら気遣ってくれても、その顔には『もうウンザリだ』という色が日に日に濃くなっていきました。彼に負担をかけたくないと感じた私は、自然と他に目を向けることになります」
「他? 彼、以外の相手と――?」
「そうです。ですが、その時点で私の頭の中に、浮気という概念はありませんでした。あくまでも彼の負担を減らそうと考えてのこと。そうして私はまるで悪気すらないままに、時には彼の友人にさえ抱かれていたのです」
「ま、まさか……?」
「ええ、普通ではありませんね。でも私は、相手が誰であれ自分に迫ってくる異性を拒絶することはできません。だって私の内側は、いつでもそれを求めて、ぐつぐつと煮えたぎって止まないのです。だから――」
松川さんはそこで一度言葉を切ると、蕩けてしまいそうな目つきを向けて、俺に聞いた。
「こんな私のこと、誰だって毛嫌いするに決まってます。瑞月ちゃんのお兄さんだって、そうではありませんか?」
「お、俺は……」
不意に「瑞月ちゃんの」と前置きされて、思わず口ごもってしまった。慌てて、言葉を続ける。
「……別に、そんな風には思ってないよ」
彼女は身体を起こし、得心したように頷く。