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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
「……」
目を覚ます。直前まで見ていた夢の内容に比して、静かな目覚めとなった。日の差さない暗い地下では時間がわからない。時計を見ると、もう正午を随分と回っていた。
ベッドからのそのそと這い出る。小窓のブラインドを開け、薄暗い室内に光を入れた。伸びをしながらドアの前まで進むと、天井を見上げてため息をつく。
彼女たちは、どうしているだろう。松川土埜は、もう帰っているのだろうか。そう思うと一階に顔を出すのが憂鬱だ。とはいえ、顔を洗うにしてもトイレにしても、ここでは儘ならない。
仕方なくドアを開け、そろそろと階段を上った。
「つっちー、――ですって」
「ふーん。じゃあ、――でも、いっか」
リビングから聴こえていた話し声を一旦スルーする。洗面所に入り、水で顔を洗った。その後で時間をかけて歯を磨く。鏡の中の自分の顔が、どことなく冴えないと感じた。
その場で一応の用を済ませると、重い足取りでリビングへと赴く。ソファーのところでくつろいでいた彼女たちの輪に、気後れしながら加わっていった。
「おはよう」
昼過ぎまで爆睡してしまった当別荘の管理人に、一斉に彼女たちの視線が向く。しかし、その反応(リアクション)は思いの外、穏やかなものとなった。
「アハ! お寝坊さんが、やっと起きてきましたよ」
今日も元気だ、とばかり。自慢の笑顔を弾けさせる夏輝木葉の場合は、まあ想定内だろうけど。
「もう、だらしないって。髪はボサボサだし、瞼も腫れぼったくない?」
言葉はともかく、表情の方はとても柔らかかった。機嫌がよさそうな瑞月には、流石に面食らう思いである。
「あ、ああ……そうか?」
指摘を受けた目元を指で触れながら答えると、更にこう聞かれた。
「昨日、遅かったの?」