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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
「なあ」
後部座席に向かって、そう声をかけていた。
比較的大きなワゴン車の空間には、駅に来るまでと違って今は二人しかいない。それなのに運転席とは対角の位置の後部座席の端でドアに寄りかかるように座ると、瑞月は俺の声に反応することなく窓から外を眺めている。
別荘へ至る林道を進みながら、このまま帰っていいのか、と軽い戸惑いを覚えてしまうのだった。
「さっきの態度は、あんまりだって。みんな内心では憮然としてたと思うけど」
「はあ? 関係ないし」
窓の外を見つめたまま言った瑞月を、ルームミラーでちらりと窺う。目元は染め髪に隠れ、鼻から口元、顎へと続くラインが(我が妹ながら)綺麗だな、と感じた。
「関係ないって、お前の友達だろ」
「別に」
馬鹿にしたような笑いと共に呟かれた言葉に、些かカチンとした。なんとなく看過できない気がしたのである。