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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
まあ、どうでもいいか。そう思うのは簡単だ。自分の友人関係に対して、兄からどうこう言われたら確かに鬱陶しいだろう。そもそもこの数年、瑞月とはろくに口さえ利いてはいないのだから、急に兄貴面する方が無理があるのだ。
それでも身内として、さっきの瑞月の振る舞いには不安を覚えてしまう。他の三人との関係が、あの場面に縮図として表れたように感じて、それがとても気にかかったのだ。
夏輝さんはああ見えて、かなり瑞月に気を遣っているように思えた。普通の友人関係だったら、あんな我儘を簡単に許したりしないだろう。松川さんと高坂さんは、やはり一歩離れて俯瞰したようなところがあり、やはり瑞月との関係はより希薄だと感じた。
俺が家を出てから、瑞月(コイツ)はどんな日常を送ってきたのだろうか。兄妹だからというよりも、同じくあの親を持つ身として、純粋にそれが心配になった。
超がつく成り上がり者の父親。その子供として、よく言えば至極丁重に、悪く言えば、はれ物でも触るような扱いを受け続け、そんな環境に常に苛立ってきたのではないか。
その点では俺と同様かもしれないが、親父からすれば瑞月は血の繋がらない娘《おんな》である。俺とはまた違う、否、それ以上の妙な圧迫感に苛まれていたと考えるべきだろう。
「……」
瑞月の横顔を鏡の中に映しながら、少し昔のことを思い出していた。あれは俺たちが小学校の高学年だった頃。