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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
「ほら、熱いぞ」
「ん――」
はふっ、――んぐ。
差し出したレンゲをおそるおそる口に含み、瑞月はゆっくりと一口のお粥を租借する。
「味はどうだ?」
「まあ、大丈夫」
「大丈夫って、なんだよ……」
「ふふふ」
背を少し丸めて、瑞月がくすくすと笑っている。
とても素直な瑞月に、俺が粥を作って食べさせている、という不思議。こんな風にしていると、本当に子供のころにタイムリープでもしてきた感覚だ。
だけど瑞月の艶々だった黒髪が今は黄金色で、丸く柔らかだった顔のラインも今はすっきりとシャープさを帯びている。背丈も少し伸びて、特に意識したわけでは(断じて!)ないが、先ほど抱き上げた時の感触は、女性としての成長を至る所から否応なく示してくれた。
大学一年目の夏の、もう少女とは呼べない年頃の、それでいて、未熟な危うさを内包する横顔を、俺は複雑な気持ちで、それでも大半は好ましい想いで見つめた。
今の瑞月なら、いろいろ話せそうな――話してくれそうな気がする。
「なあ、瑞月」
「なに?」
「どうして急に、俺のところになんて来たんだよ」
「俺のところ?」
「来てるだろ、この別荘に」
そう答えると、瑞月は大げさに驚いて言う。
「うわー、すんごい自惚れ。私は涼を求めて別荘に来ているのであって、お兄ちゃんはそこにたまたまいただけなんですけど」
「な、なんだよ。俺はオマケか」
「ふふ、当然」
瑞月は、また楽しげに笑う。