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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
夕方の五時近くになり、別荘の周辺の遊歩道を散策するという女ども一行を見送った俺は、一人別荘に残りキッチンに立っていた。
「ああ、面倒だな」
明日以降は外食でも自炊でも勝手にやってもらうつもりだが、せめて今夜くらいはと、晩餐の支度に勤しんでいる。とはいえ普段同様、自分の腹を満たすくらいの簡単な料理ならともかく、客を迎えるような豪華なディナーを用意できるほどのノウハウがあるはずもない。
そこでオードブル各種は、馴染みのあるレストランに頼んで作ってもらった。あとはスーパーでそこそこ値の張る牛肉を始め様々な食材を調達してきたので、しゃぶしゃぶでスタートした後に、いろいろぶち込んで適当な寄せ鍋にしてしまえば上等だろう。
そんな風に、適当に食材を切り刻んでいた時だった。
「あの……私、お手伝いしましょうか?」
その控えめな音量の声音に顔を上げると、キッチンカウンターの向こうに松川さんがいた。
「もう、散歩はおしまいなの?」
「ちょっと空が曇ってきましたので、木葉ちゃんと一緒に引き返してきました」
木葉(このは)ちゃん――は、元気な夏輝さんの名前だったな。頭で確認しつつ、聞いた。
「瑞月と高坂さんは?」
「まだ、お外です。二人で長い間、話していましたので、私と木葉ちゃんは先に……」
「あ、そう」
その取り合わせに、やや腑に落ちないものを感じた。といっても、単に高坂文水の「あの子たちとは仲良くない」という趣旨の発言に引っ張られているだけなのかもしれない。あれは特に、瑞月のことを言っていたような気がした。根拠はないけれども……。