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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
「そっちは楽しんでる?」
「ハイ! それは、もう――」
と、しばらくの間、露天風呂が素敵だの、湯の効能はアレコレで美容にばっちりだの、今まさに食べている宿の晩御飯のメニューを一通り教えてくれたり、その上「あ、そうそう」と話題を変え、来る道中でナンパされたエピソードなどを、夏輝さんは息をつく間もなく話してくれた。
「そ、そう……。まあ、楽しそうでなによりだね」
「ありがとうございます! それで、瑞月の様子はどんな感じですか?」
それを聞くために電話してきたと思うのだが、やっとか。ふっと軽くため息を吐きつつ、俺は答えた。
「結構、高熱が出たから焦ったけど、医者にも診せたし大丈夫そうだ。薬を飲んで、今は眠っているよ」
「そうですか。それなら、一安心ですね」
「うん。それでさ。なんだか瑞月のやつが我儘言った感じになってしまったけど、そういう事情なんで、許してもらえると助かるかな、と」
「全っ然、平気ですって! つっちーも文水さんも、気にしてないと思いますし」
「ホント?」
「ええ、もちろん。それにしても、やっぱりお兄さんですね」
「ん?」
「お兄さんは、瑞月のお兄さんでしょう?」
「まあ、そうだね……?」
なんと反応していいか、よくわからない質問だ。そう言えば彼女たちは、俺たち兄妹のことをどこまで聞いているのだろう。まあ、この雰囲気だと単なる兄としか認識してなさそうだ。
「というわけで、まだまだ温泉を満喫し尽くした後、我々一行は明日戻る予定でございます」
「うん、わかった。迎えがいるようなら連絡してくれ」
「ハーイ! では、今宵はこれにて失礼いたしまーす!」
「あ、ちょっと待って――」
「ハイ? なんですか?」
「夏輝さん、今一人?」
俺は自然と声を潜めた。