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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?


 風邪を引いた時の入浴については、少なくとも俺たちが幼いころには、もっての外とされていたような気がする。それが近頃では身体を温め免疫力を高める手段として、逆に風邪だからこそ入浴すべきというのが常識に変わりつつあった。

 要は裸になる脱衣場が寒かったり、だらだら入って湯冷めするのがいけないのであって、短時間で効果的に温まるように心がければ問題はなく、むしろ効果的だということだろう。

 今は夏なので、浴槽に湯満たし浴室全体に湯気が立ち込めれば、寒さを覚えることもないはずだ。俺は瑞月のため、浴室の清掃を済ませると湯船に新しくお湯を張った。

 この別荘の一階にある浴室は、無駄に広くて豪華な印象である。床も浴槽も、全面的に御影石が使われていた。まるで小型な公衆浴場さながらといった雰囲気で、洗い場は壁二面に渡りL字型に四か所も設置されている。それに合わせ鏡も張り巡らされているが、適切な大きさなので下品な感じはなかった。

 床や壁と異なり正方形の浴槽は、重厚な黒色の御影石で組み上げられている。床から深く埋まり込んでいて、四隅それぞれに大人が入っても狭く感じないくらいの、ゆったりとした広さだ。

 立ち込めた湯気と柔らかな照明の光も相まって、お湯に浸かっているとなかなか幻想的な気分に浸ることができる。大きな窓を覆うカーテンを開けば、季節によっては月を眺めることだって可能だ。

 しかしながら、この豪華な浴室を俺自身が使用することは、ほぼない。普段は専ら、二階のユニットバスを使用していた。いくらなんでも、一人で入るには広すぎるのだ。つまるところ、もったいないということ。

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