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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?


 それは妹だからこそ余計に、意識してはならない、反応してはならないという気持ちの裏返しなのだろう。興奮とは明らかに別次元の緊張が、頭の中を頻りと苛んでいく。

「ねえ、お兄ちゃんはさ――」

「なんだ」

 油断すれば、裏返りそうになる声。前を見れば、鏡に映った瑞月の姿が。一応はボディータオルで覆われているが、お湯に濡れて身体のラインを浮き上がらせている。

「こういうの、慣れてる?」

「慣れねーよ。人の身体を洗うのなんて、はじめてだ」

 言いながら、シャワーを一度止める。ボディーソープのボトルを手にしたが、そこで躊躇した。

「あ、洗うのか?」

「うん、お願い」

 瑞月は答えると、身体を隠していたタオルを俺に渡す。これで完全に、鏡の中の瑞月は全裸だった。否応なく、顔を背けるより他はない。

「――でも、そういう意味じゃなくてさ」

「ん?」

「お兄ちゃんは、女の人の裸とか、慣れてるの?」

 改めてそう聞かれ、なんと答えていいのか困ってしまった。それでも、この三日間のことがなければ、もう少し平然と誤魔化すことはできただろう。

「慣れてはないけど……」

「つき合ったことはあるよね、当然」

「まあ……」

 そう答えてしまった後で、瑞月の態度がやや硬くなったように感じていた。

 俺は泡立てたタオルで、おそるおそる背中を洗いはじめた。瑞月のやや火照った、それでいてきめ細やかな素肌の上を、滑らかにタオルを滑らせていく。

 すると、しばらくして。

「やっぱり、ずるいな」

「瑞月……?」

「私は、ないのにさ」

「ない?」

「男の人と、つき合ったことなんて、一度も」

「そう、か……」

 そんな風に聞いて、それをどう捉えようか、俺は迷っていた。だが、兄としてだけの想いなら、なにも迷うことはないのではないか。

「お兄ちゃんのせいだからね」

「え……?」

 鏡の中の瑞月と、思わず目を合わせた。

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