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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
瑞月が右腕を横に開くと、手首を掴んで支えるように持ち、肩から上腕、肘を通り細い前腕までを滑る。泡で指先を絡めるように丹念に手を洗うと、引き返し腕のつけ根へと至った。
意図せずに、脇の下から胸のふくらみの一部に届くと、洗う俺と洗わせている瑞月との意識が、小さく交錯する。
「んっ……」
「あ、くすぐったかったか?」
「うん、少し」
「わ、悪い……」
「いいよ、別に」
湿気と汗で、シャツが身体に張りつく。頭も少し呆然としてきて、不思議な気分だった。立ち込める湯気の中で、裸の妹を洗っている光景を、俺の頭が現実の場面として受け入れていないのかもしれない。
なんとなく同様に反対の腕も洗っていると、瑞月は唐突に言った。
「でも、中学の時――私、告白されたことがあったんだよ」
「告白?」
「うん。好きだから付き合ってくれって、とてもストレートな告白。だけど当時、クラスの中で自分の居場所がなかった私にとって、その告白は衝撃的だったんだ。相手の男子は明るくてサッカー部でも活躍していて、とても目立っていた。でも話したことはほとんどなくて、だから、とても驚いたんだ」
当然ながら、初耳だった。
「それで、瑞月はどうしたんだ?」
「すぐには返事ができなかった。考えさせてって言って、一人で真剣に悩んだの。でも、やっぱり嬉しかったと思う。私のこと、ちゃんと見ていてくれた人がいたんだって、それがなによりも――なのに」
「瑞月?」
言葉を切った瑞月は、長い間を置いた後で、こう続けている。
「お兄ちゃんのキスが、すべてを吹き飛ばしたんだ……」