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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?


 こんな時、慌てふためき顔まで真っ赤にして「いいって、なにがだよ……?」なんて、定型でラブコメ風味のセリフを口にすることを、咄嗟に避けた。

 では、なんと言えば適切か? そんな風に一旦この状況を客観視しようとするのも、仮にも小説なんてものを書いている人間の習性か。だとしたら、それはあまりよろしくない。誠実ではない、と思う。

 だが、ついでに分析するなら、そもそも今の瑞月は真面ではない。冗談を言って俺をからかっているにしてはやりすぎだから、その可能性は消していいが、少なくとも熱で浮かされてなければ、俺の前で肌を晒すような真似をするはずがなかった。

 そう、今日の瑞月はずっと真面ではない。理性という内なる壁があちらこちらで瓦解して、中身がだだ洩れになっている。そんな状態だ。

 だからこそ、それが本音だろうという捉え方もあり、実際にさっきまでは俺もそう考えていたが、人間とはそこまで単純な生物ではない、と思い直す。

 これは、やや強引なたとえかもしれない。女の人を酒に酔わせて、奔放になったのをいいことに抱くとしたら、そこには後ろめたさが生じるのではないか。それは理性を緩めた状態を、その人の本質とは考えていないから。

 俺は、今の素直な瑞月が好きだ。だけど一方で、別荘にやって来てから昨日までの、どこか不機嫌な素直になれない瑞月こそ、愛しいと思う。今なら、そう思えた。

 この気持ちは、やはり兄として、と注釈させてもらうにしても……。

「なあ、瑞月――」

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