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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?


 俺は兄として、あるいは別の何者かとして、瑞月の想いにどうやって落とし前をつけるべきなのか?

 もしかしたら瑞月も、自らの想いになんらかの決着をつけようとして、俺のいる別荘にやって来たのではないか?

 だとしたら、連れて来られたあの三人にも、それぞれの役割が――?

「……おにい、ちゃん」

 考えを巡らせている最中、布団から聴こえてきた声に、はっとする。見ると、瑞月が薄っすらと目を開け、こちらを仰いでいた。

「どうしたんだ?」

「少し、喉が渇いちゃった」

「今、水を持ってくるよ。あと、メロンも食べられそうか?」

「うん。食べたい」

 そう答えた瑞月は、妙なわだかまりを感じさせない。風呂場でのことは、ひとまず頭の片隅に追いやっているのだろうか。回復に向かうためにも、今はその方がいいには違いないが……。

「ねえ、お兄ちゃん」

「ん?」

「今日は一緒に寝てよ」

「い、一緒にって……」

「バカ、違うから。普通に隣で。子供の時みたいに」

「まあ、それなら」

 元々、夜中にも様子は見るつもりでいたので、断る理由はなかった。

 その後、メロンに加えちょっとした食事を口にして薬を飲むと、瑞月は泥のように眠った。その隣で毛布に包まりながら、俺の方はしばらく眠れなかった。

「……」

 やがて瞼は重くなり、次第に微睡に落ちようしていた。それでも、明確に意識が遮断されてはいなかったと思う。

『お兄ちゃんの……バカ』

 聴こえていた音が、実際の声音であったのか、後になってからでは判断はできなかった。

『私のことも、見て……よ』

 耳朶に触れた(ような気がした)言葉に『見てるよ。だけど……』と、そんな風に曖昧に返すと、俺も夢の世界に完全に溶け込んでいった。

 幼き日、瑞月の手を取り公園を駆け回っていた。久しぶりに見た夢の中で、瑞月の笑顔がはじけている。

 あの日の瑞月が成長し、現在の瑞月を形成している。どんなに大人びて女らしく変わったとしても、別の人間に入れ替わるわけではない。

 当たり前のことを当たり前に結論づける故に、俺は悩ましく思った――。

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