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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?


 瑞月が昨夜ふと漏らした「木葉は友達かな」という言葉が、違和感と共に頭の中に浮かんだ。昨日よりもちょっとだけ、瑞月のことが心配になってしまう。

 助手席に座った夏輝さんは、時折身体を大きくよじって後ろを向き、プチな温泉旅行の楽しかった想いを後部座席の二人と執拗に共有しようとしている。俺がなにげに口を挟めば、その数十倍の文字量を使い、聞いてないことまで話して聞かせた。

 高坂さんは少し大人の顔で、冷めすぎずはしゃぎすぎず、自然な笑みを口元に浮かべている。それは昨日出かける前に、同じ車内で「誘惑してるだけ」とキスしてきた唇だったのだが、今は平然と、こちらを気にかけず、むしろ無視している感じだ。

 それとは反対に、頻りと視線を向けられたように感じたのは、松川さんの方だ。停車中、ためしにルームミラーを覗くと、その漆黒の瞳に見つめ返された。向こうから逸らしたが、すぐにまた熱い視線の気配を背中に覚えている。

 少しだけ息苦しく感じ、俺はふっと息を吐いた。

 別荘に帰り着くと、三人は瑞月の和室を見舞った。しばらくは夏輝さんの声を主として、なんとも花柄の声がリビングまで漏れ出していたが、やがて高坂さんが出てきて「疲れたから、私も少し休むね」と、二階の自分の部屋へと入っていった。後の二人も、ほどなく自分の部屋に戻っていく。松川さんが去り際に、また意味ありげに視線を向けた。

 瑞月の体調を気遣ってのことだろう。三人とも、その日は比較的大人しく過ごしてくれた。夏輝さんが中心となって、瑞月の世話を焼いてくれたようだ。

 そんなわけで、俺の方は久しぶりにゆっくりと執筆に打ち込むことができた。調子よく書き進めていたので、食事も簡単なものを部屋に持ち込み、なるべく手を止めずにひたすら書き進めた。こういう時は、なり振りかまわず行き詰まるまで書き続けるに限る。

 調子は良く、時間を意識せずに没頭することができた。しかし、そこでふと時計を見てしまったのは我ながら迂闊だ。

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