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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第4章 かわいい企み?
「もう、二時か」
不意にそう呟いた途端、身体中を疲労が蝕んでいく。こんな風に些細なことをきっかけとして、集中が一気に解けてしまうことがあるのだ。こうなってしまえば、同じ調子を取り戻すことはできないだろう。少なくとも、この夜の内には無理だ。
一息に章を描き切れる予感があっただけに惜しいが、こんな時は寝てしまった方がいいだろう。そう思い、ベッドに倒れ込んだのだが――。
「……」
すごく眠い、が、しかし。今、頭に残留する先の展開が、寝てしまった後にすっかり失われてしまっては大変だ。俺は再び起き上がり、書架の前にあるキャスター付きの簡易デスクをベッドの脇に引き寄せると、その上でノートを開き頭の中にあるアイディアを書きなぐった。
すべてを書き止めたら、そのままベッドに背を倒して寝てしまうのだろう。五分後の自分の姿を羨ましく感じながら、ストレスを貧乏ゆすりで調和しながら鉛筆をはしらせていく。最早、文字というよりも記号。そんなもので、とにかくノートのページを埋めた。
「!?」
スマホの振動を感知した瞬間、俺の中に嫌な感覚が立ち込めていた。悪寒といってもいい。俺はベッドの上に置き去りになっていたスマホに、おそるおそると手を伸ばした。
〖今、お部屋に行っても、いいですか?〗
気づかないふりをすればよかったと、メッセージを見た後で思った。だけど気になってしまった以上、無理なのだろう。そして、すぐに無駄だったとわかる。こちらが返事を打つ暇もなく、鍵のない書斎のドアは既に開かれてしまった。
「お兄さん、私……」
部屋に入ってきたのは、松川土埜である。もちろん、メッセージの送り主だ。シンプルな模様の、可愛らしいパジャマを身に着けている。