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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
大体、夏輝さんと松川さんの組み合わせ自体は、見た目上も元々仲良しなので気楽ともいえる。むしろその意味では、別荘に残った瑞月と高坂さんの方が心配なくらいだ。
出かける際に様子を窺った限りでは、二人とも嫌な顔もせず用意をはじめていたから、おそらく大丈夫だとは思うが。
スーパーの駐車場に車を停めると、俺のスマホにメッセージの着信があった。その相手の名前を確認し「ちょっと先に行ってて」と、二人を先に行かせ一人で車に残った。
〖涼一さん、明日のこと忘れてませんよね?〗
そのメッセージの送り主は、浦辺華火(うらべ かほ)。俺のバイトする喫茶店の、いわばバイト仲間である。地元の女子高生だ。
「明日? あ、そうか」
華火には申し訳ないが、メッセージを見るまですっかり忘れてしまっていた。華火から誘われ、アニメ映画を一緒に観に行く予定になっていたのだ。
もちろん憶えてるよ、とか白々しいメッセージを返そうとしたが、少し思うところがあり、電話で華火と話すことにした。発信すると、ほどなく華火の声が応じる。
「りょ、涼一さん、急になんすか?」
華火は、なぜか少し慌てていた。
「急? 今、メッセージ見たから」
「ま、まあ……ですよね」
「ああ、バイト中だよな。悪い。かけ直した方がいいか?」
「いいえ。お客一人もいないんで、全然大丈夫ですよ」