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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
できればマスターにも来てもらいたかった、と考えるのは、日ごろお世話になってるからとか、そのような殊勝な想いからではなかった。いやっ、まったく皆無ではないけども。
俺の気まずさを、少しでも中和してくれるのではないか。そんな期待から、二人を誘ったことは否めない。呑気にバーベキューなんて言ってみても、心の中はざわつくのである。正直、あの四人の中にいることが、今時点で最高に気まずかった。
すべては自分が招いたこと。そうは思うが、言い訳したい気持ちがないわけではない。今日の四人の醸し出す平和な雰囲気が、嵐の前の静けさのようで、とにかく怖かった。
「オーイ! お兄さーん!」
車の中にまで聴こえてくる、夏輝さんの元気な声。窓越しに見やると、スーパーの入口で大きく手を振っている。周りの人々が、何事かと注目してもお構いなしだ。
「今、行くよ」
届かない呟きとため息を残し、ドアを開け車の外へ。
もう、なるようになれ。なんて、そこまで開き直れる性格ではない。が、とにかく今はバーベキューを楽しもう。そうでなければ、せっかく来てくれる華火にも申し訳が立たないだろう。
その後、どんな展開になるのかは、まったく予断を許さない。様々な思惑を孕みながら、ともかく、まずは買い物へと俺は勤しむのであった。