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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
ショッピングカートを押しながら、広い店内を進んだ。右手に松川さん、左手に夏輝さんという布陣。一体なんなのだろうか。この〝両手に花〟状態は――。
「ねえ、つっちー。BBQといったら、まずはなぁに?」
「うーん……やっぱり、お肉? あと、魚介もいいかなぁ。エビとか貝とか」
「ウンウン! とにかく目一杯、買ってこー!」
「フフフ、木葉ちゃんってホントよく食べるよねー。そんなに細いのに」
「ええ、そうですとも。どうせ、つっちーと比べたら貧乳ですし」
「べ、別に、そんな風に言ってないよぉ……」
真ん中の俺を飛び越えて、夏輝さんと松川さんの会話が続く。
だったら君らで並んで歩けばいいのに、と呆れ顔を浮かべるのも照れ隠しの意味合いなのか。夏輝さんの声がイチイチでかいせいもあり、周囲の注目を集めてしまっている。彼女たちが目を引くだけの容姿であることも、否定はできないが。
「でも、やっぱ私はお肉命! 一足先にチェックして参ります!」
夏輝さんはそう言うと、居並ぶ野菜やきのこには目もくれず、奥の精肉コーナーへまっしぐらだ。
「もう、木葉ちゃん」
「ホント、元気だねぇ」
パタパタと走りゆく夏輝さんの後姿を眺めながら、残された俺たちの間には、一気に気まずい空気が流れた。
「あのっ、じゃあ――」
「ああ、そうだな……。まずは適当に野菜から――」