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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
一応、スーパーでの買い出しは完了。肉中心に、かなりの量を買い込んでしまった。会計の時、軽く引くくらいの量である。まあ、いい。残った時はスタッフに美味しくいただいてもらおう。
ともかく、夏輝さんと松川さんと大量の食材を車に乗せ、別荘まで戻れば買い出し班の任務は無事終了となる。途中、心をざわつかせる場面もあったが、今はあれこれ考えるのはよそう。
後回しにするほど、状況の方は悪くなっている気はするが、かといって各々の事情を全員の前でフルオープンにするわけにもいかないだろう。その場合、俺が爆死するのは自業自得として、それを差し引いたとしても。
松川さんの場合をはじめ、もう少し個人個人と接してみなければ、わからないことが多すぎる。既にある意味で色濃く関わってしまった後だ。とても面倒に思うが、今から素知らぬ顔もできない気がする。
こんな自分の性格が、更に物事をややこしくする可能性は大だ。だけど当然ながら、俺自身にも気持ちというものがある。彼女たちがやって来てから揺さぶられっぱなしの、この気持ちにもなんらかの落とし前はつけなければならない時もくるはずだ。
今のところ、バッドエンド以外の未来は想像し難いのだが……。
「ん、なんだ?」
車を別荘の敷地内に停めた時だ。庭で間にコンロを挟み、対峙する瑞月と高坂さんの姿を見て、違和感を覚えた。
こちらから表情を窺える瑞月の方はきっと鋭い視線を相手に向けていて、後姿の高坂さんの方は少し背を反らし腕を組むと、まるで相手を値踏みするように立ち尽くしている。どう見ても、仲良くおしゃべりしているようには感じられなかった。