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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で


「オーイ! 買って来たよー!」

 車から飛び出ると、なんの遠慮もなしに夏輝さんが大声を上げた。

 KYとはよく言うが、この夏輝さんの場合はさながらKCといったところではないか。良くも悪くも、場の〝空気(K)〟を一瞬で〝クラッシュ(C)〟する存在、それが夏輝木葉だった。

 ともあれ、その声を耳にした二人は、即座に睨み合いを止めると、瑞月は一人そそくさと別荘の中へ消えてしまった。そうなってしまえば、当人たちに「なにか、あったの?」と聞いたところで「なんのこと?」と惚けられて終わりだろう。結局は二人の対立の原因が不明のまま、今度は全員で準備を進めることになった。

 キッチンに立ったのは高坂さんと松川さんで、この組み合わせには特に意味もなく、強いて言うのなら台所仕事に慣れた二人が率先してやってくれているといった感じである。外の方は手が足りてる様子だったので、俺は二人が切り揃えた肉や野菜を金串に刺す作業を担当した。

「じゃあ、これもお願いね」

「うん」

 カウンター越しに食材を受け取りながら、ついでを装って高坂さんに聞く。

「あのさ、さっき瑞月となにか話してなかった」

「さっき?」

 そう聞き返されると、やや怯んでしまうが、ここは思い切ってもう少し詰めてみることにした。

「車で戻った時だけど……なんかさ、二人の様子が尋常じゃない、っていうか。そんな風に見えたから」

「ああ」

 高坂さんは納得したように、そう応じてから。

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