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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
「流石に、ちょっとムカついたかなぁ」
「ムカついたって、どうして?」
「兄貴に告げ口する趣味はないけど、でもさ――梯子を外されたら、誰だって怒るじゃない」
「梯子?」
「そ。高いところから降りられなくなったら、困るでしょう? ま、そんな感じ」
なんとも曖昧な表現だった。だが、一緒にいる松川さんの手前もあり、それ以上聞くのをやめた。
食材の準備が粗方整うと、今度は外に出て火を起こすことに。久しぶりだったので、やや手こずったが、日が暮れはじめたころには炭が赤々と鮮やかに色づいていた。
これにて、準備万端! まるでそんなタイミングを、見計らったようだった。耳慣れたエンジン音が近づき、一台の原付が俺たちの前を一旦通り過ぎてから、敷地の端の方に遠慮気味に停まった。
「あ、あの……一応、来てみましたが」
ヘルメットを外した後のショートの髪を片手で整えながら、浦辺華火はとても緊張気味に、俺の顔を見て到着を告げた。
すると、俺より先に歓迎の意を示したのは、彼女たちの方だった。まずは予想通り、興味津々に夏輝さんが絡んでいく。
「どーも、いらっしゃいませぇ! えっとぉ、お兄さんのバイト仲間の――?」
「あ、ええ……う、浦辺華火といいます」
華火はペコリと頭を下げた。
「カホちゃんかぁ、まだ女子高生なんだって?」
「はい、一応……」
「うわぁ、カワイイー!」
「いえっ、そんなっ、自分なんて、その……滅相もないっす」
迫りくる夏輝さんを前に、華火の方はタジタジだ。
「私は夏輝木葉。あとこっちは、つっちー」
「つっちー?」
腕を組まれて、次に会話に巻き込まれたのが松川さんだ。
「もう、木葉ちゃん。いきなりそう言っても、わかんないよ」
松川さんは夏輝さんを窘めた後で、改めて言う。
「松川土埜です。今夜は一緒に、楽しく過ごしましょう」
「あ、はい……こちらこそ、よろしくです」
そう答えた華火の視線が心なしか、松川さんの胸部に注がれているように見えた。豊満な胸を目の当たりにして、ぎょっとしているのだろうか。
「ホラ、変に絡まないの。びっくりしてるじゃない」