この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
プシュ! プルトップを開け、彼女は冷えた缶ビールをぐっと傾けた。
「ホント、面倒見がいいよな」
「なに?」
「みんなの分、ずっと焼いていただろ。それと、はじめての華火にも、随分と気を回してくれてたみたいだし」
「そういう性分なの。面倒だとは感じてないよ」
「そっか」
「うん」
会話が途切れ、少し気まずいと感じるくらいの沈黙が続いた、その後で。
「あ、あのさ……」
「?」
頬杖をつきながら、彼女は視線だけをこちらに向ける。
「……東京に、帰るの?」
言葉に緊張を顕わにしながら、俺は訊ねていた。
「……」
高坂さんは黙ったまま、また視線を前を戻し、たぶん、瑞月の後姿を呆然と眺めている。それでいて、俺が瑞月から聞いたことを咎める風もなく――。
「どうしよっかな……」
と、ポツンと呟いていた。
「迷ってる、のか?」
聞くと。
「うーん……どうかなぁ。どっちでも、いいんだけどね」
彼女は言って、また缶ビールを口に。それから、なにかを思い出したのか「ふふ」と笑い、それを噛み殺すようにしてから、俺の顔を見つめた。
「ねえ、管理人さんが決めてよ」
「え?」
「私、ここにいた方がいい?」
「……」
突然向けられた問いに、俺はすぐに答えることができずにいる。