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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
「どうして、俺に?」
「さあ、気まぐれかな。本当にどっちでもいいの。だから決めてくれない」
「あのさ……そんな風に聞かれて、少なくとも『帰れ』とか、俺が言うと思う」
「フフ、バレたか」
「なに?」
怪訝な顔で聞くと。
「その通り。最初から、この問いは一択なの。優しい管理人さんが、『帰れ』とは言うはずもないのだし」
「優しいって、別に……」
照れて言うと。
「じゃあ、優柔不断かな? どっちにしても、私は管理人さんのお墨付きをもらって、堂々と居座ることができるわけ」
「そんなものがなくたって、みんなと一緒にいればいいだろ。その方が楽しいし」
「ハイ、アウト!」
高坂さんから指を差され、俺はキョトンと間抜け面を晒した。
「アウト?」
「この場合、大勢の方が楽しいだろ、というのが一番ダメな解答だよ」
「な、なんで?」
「わからない? じゃあ、管理人さんは私のこと、その他大勢としか思ってないんだね」
「!」
「それならそれでもいいけど、だったら逆に帰れと言うべきだね。厄介払いするなら、今がチャンスだし」
「厄介払いって……」
「でも、実際そうだから。可愛い妹のことでも、松川さんのことでも、たぶん、頭を悩ませているんじゃないかな? その上、私が自由に振舞うとしたら、管理人さんにとって厄介この上ないと思うけども」
「……」