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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
ギクリとして傍らを見ると、足元にしゃがんでこちらを仰いでいるのは夏輝木葉だった。
「別に……松川さんだけを、見ていたわけじゃ……」
「アハハ! それって、つっちーを見てたってこと、認めちゃってますからぁ。そして少なくとも私のことは全っ然、気にしてくれてなかったみたいですね。ああん、木葉、悲しい……」
「だから……」
「いいじゃないですかぁ。なにかあるんですよねー、つっちーと?」
可愛く小首を傾げた姿に、この時ばかりはイラっとした。
「夏輝さん、ちょっと一緒に来てくれない」
「なんですかぁ?」
「そろそろ、食材の追加が必要だろ。あと酒も。一緒にキッチンまで取りに行こうか」
「ええ、それは、かまいませんが?」
俺は適当な理由をつけて、夏輝さんを伴い別荘の裏手に回り込む。そちらにはキッチンに通じる勝手口があるが、俺は入らずに足を止めた。
「あれ、どうしたんですか?」
勝手口に手を伸ばしながら、夏輝さんが俺を振り返った。きょとんと澄ました愛らしい顔を見つめ、俺は話を切り出す。それは少し前から、二人になった時に言おうと思っていたこと。
とある事実確認だ。
「あのさ」
「ハイ?」
「あれは、夏輝さんだったんだよね」
「なにが、ですか?」
彼女は、あくまでも惚けている。俺がなにを言おうとしているのか、まだ察していないのだろうか。だとしたら、興味がある。
「初日の夜、酔って眠る俺のベッドに潜り込んだのは、夏輝さんだね」
果たして夏輝木葉は、どんな反応を見せるのだろうか?