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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で


 瑞月に関しては、はじめから可能性を考慮してはいない。昨日のキスを軽くみるわけではないが、少なくともあの時点ではあり得ない。というか、もしそんなことがあり得たとしたら、俺の精神が崩壊することになるだろう。この先には一度、兄妹とは別の感情で向き合う時もあるのかもしれない。が、それはまた別の話だ。

 消去法としてのすべての根拠を列挙してみせても、やはり信じられないという想いの方が強い。というのも瑞月を除く三人の中で、当初一番可能性が低いだろうと感じていたのが、この夏輝木葉だったからだ。今、いつもの笑顔で振り返って「一体、なんのことですか」と言われでもしたら、俺が積み上げた根拠など一瞬にして塵になるのかもしれない。

 それくらい、彼女であるという理由が、まるでわからなかった。

 それでも強いて言うのなら、あの次の朝、真っ先に俺に挨拶をしてきたのが、彼女だったことを憶えている。あの時の彼女は、俺が前の晩の情事をどこまで――誰を抱いたのかを――把握しているのか、素知らぬ顔で探りに来ていたのではないか。

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