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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
どうやら判然としないことを悟ると、次にさり気なく、四人とも一人になる時間があったこと(可能性があったこと)を、俺に話して聞かせていたのである。
ずっと黙ったままだった彼女から、おどけた笑い声が聴こえた。
「エヘヘ」
「夏輝さん?」
とりあえず否定はしてこない。惚けるにしても、間を置きすぎている。
どうやら本当に彼女で、間違いないようだった。
「どうしてあんなことを?」
後姿に訊ねると、ピクンと背中が微かな反応を示す。するとその後も、華奢な身体を小刻みに震わせはじめた。
なんとなくバツが悪い想いがして空を見上げると、今夜の月が大きく見えた。別に糾弾したいわけじゃない。只、理由がしりたいだけなのだ。
「あの、お兄さん……」
それは夏輝さんらしくない、消え入りそうなくらい小さな声だった。
それを聞いた俺の心に、なんだか申し訳ない気持ちが募っていく。
「別に今でなくてもいいんだ。また話せる時にでも話してくれたら、それで」
「ち……違うんです」
違う? ここまで只ならぬ反応をしておきながら、この期に及んで否定するつもりなのだろうか? しかし、夏輝さんの言おうとしてることは、俺のそんな想像を遥かにぶっちぎった。
「わ、私……お兄さんから誘われなくても、お家に中に……ううっ……戻るつもりでいたのですがっ」
「ああ、そうなんだ。なんで?」