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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で


 返事はないが、泣き声は治まっている。それを肯定と捉え、俺はその場を離れようとしたが。

「じゃあ、ちょっと待――!?」

 シャツの裾を後ろから引かれて足を止めた俺に、彼女は涙ながらに言った。

「お、お兄さーん……ううっ……わ、私、おしっこ漏らしちゃったよぉ」

「あ、うん……そ、そうみたいだね。だ、だから松川さんに」

 更に、ぐいっと強く引かれ。

「いやっ、このままにしないで」

「だ、だけども」

「うわあぁん……せっかくこの二年くらいは、漏らしたことなかったのにぃ」

 イヤイヤ、ソレなんの情報!? つーか、二年前にも漏らしてるのかよ! 〝せっかく〟の使い方ぁ! いい加減凝りて、我慢するのやめなさいって! 今度こそ、絶対に!

「……」

 頭の中を駆け巡る、いくつのもツッコみワードをとりあえず、グッと呑み込む。今、言ってもどうにもならないし、彼女もふざけてるわけじゃない(たぶん?)ので流石にかわいそうだ。

 とはいえ、どうしたものか……。

「松川さんでも、ダメ?」

「うん……やっぱ、はずいし」

 まあ、それはそうだろうけども……。

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