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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
「……」
これは、洗礼というべきだろうか。女たちの中に入る大変さを、早速思いしらされた気がする。だがこの程度、ほんの一端にすぎないはずだ。
改めてこれから二週間、先が思いやられてしまう。頭を抱えていると、会話に一人加わらない瑞月のことが気になった。
「瑞月、お前もアルコールで大丈夫なのか? 飲んだことないんじゃ――」
「はあ? お酒ぐらい、余裕」
相変わらず、俺に対する当たりが厳しい……。
軽くダメージを負いつつ、とりあえず席を立ち、みんなのドリンクを用意した。
「ではでは、お兄さんから挨拶でーす!」
と、夏輝さんに促され、柄でもなく乾杯の音頭(的なもの)を取ることになった。
「えっと、それではぁ……み、みなさんが楽しい二週間が過ごせますように、といった感じで……簡単ですが、とりあえず乾杯!」
「乾杯!」
かくして、なんとかはじまった晩餐。普段は一人で黙々と食す同じテーブルが、今夜は夢のように華やかで賑やである。だが、これは悪夢のはじまりなのかもしれない。少なくとも今のところは、不安の方が遥かに大きいのだ。
それでも――
「管理人さん。ま、よろしくね」
高坂さんと、ビールで乾杯したり。
「あの、サラダの味、変じゃありませんか?」
松川さんの作ったサラダの味をみたりすると、それはそれで悪い気がするはずもないのだ。もしかしたら殊の外、楽しい夏になるのかもしれない。ふと、そんな気持ちさえ芽生えはじめていた。