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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
鍋を粗方食べ尽くすと、一同は残ったオードブルと各々のアルコール類を手に、リビングへ移動。ソファーでくつろぎながら、更に砕けた雰囲気で飲むかまえだ。
すると、トイレから戻って来た瑞月に。
「瑞月、私もトイレ行きたーい」
「和室の前を通って、奥の突き当りだから」
「ありがとー」
今度は夏輝さんが、足早にトイレへ向かう。すると、程なくした時。
「きゃあああ!」
奥から聴こえた悲鳴に、一同が凍りついたが。
「お兄さーん! おトイレの電気、消えましたぁぁ!」
直ぐ後にその声を聴くと、顔を見合わせて途端に表情を緩ませていた。
「瑞月、行ってきてくれよ」
「お兄さーん、って呼ばれてたじゃん。私、換えの電球とかわからないし」
瑞月は言って、そっぽを向く。
「そうはいっても、場所が場所だし――」
「木葉は、暗所恐怖症の気があるの。ほら、急いで」
そんな風に急かされ、仕方なく一階のトイレの前に赴くと、軽くドアをノックする。
「夏輝さん――平気」
「へ……平気じゃないです。暗いの、怖い……」
はじめて聞く彼女の沈んだ声に、ちょっと新鮮な感覚があった。とはいえ、本当に暗所恐怖症であるなら、面白がっている場合ではない。