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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
隙間から顔だけ覗かせると、グスングスンと鼻をすする涙声で、彼女は俺に訴えかけるように言った。
「それは後でいいから……とにかく足とかを、これで拭いて」
と、タオルを差し出すと。
「いいんですか? だって、私……おしっこを」
「どうせ使い古したタオルだし、気にしなくていいよ。それで拭いたら、こっちを腰に巻きつけてもらえばいいから」
そうして大小のタオルを渡し、再び勝手口を閉ざすとそのままドアにもたれるようにして、ふうっと息をついた。
まったく、俺はなにをしているのだろうか。
「……」
この〝おもらし騒動〟ですっかり有耶無耶になってしまったが、結局あの話は認めてくれるのだろうか。すなわち、初日の夜の情事の相手。俺はそれが夏輝木葉だと今も確信しているが、また本人から言質を取ったわけではない。
まさか、それを有耶無耶にするために、わざと? イヤイヤ、流石にそれはないはずだ。どちらかと言えば、言い当てられたショックがこの惨事を導いてしまったのかもしれない。そう考えると、やや申し訳ない気にもなってくる。
それにしても、本当になぜ――?
「あのぅ……」
再びドアが開き、彼女が申し訳なさそうに顔を見せた。