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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
「いい? じゃあ、中に入って」
「で、でも……」
「ほら、いつまでもそうしてられないよ。いいから早く」
「……サンダル脱いだから、足の裏が砂まみれになっちゃって……」
涙で潤む瞳を向けられ、俺はふっとため息を吐く。
「わかったよ。じゃあ、ドアをもう少し開いて」
「は、はい……」
「じゃあ、抱きかかえるから、首につかまって」
「え?」
「遠慮しなくていいから」
「……あ!」
まだ戸惑っている夏輝さんの華奢な身体を、強引に抱きあげた。普段ならこんな男前(か?)な行為を自然にできるようなタイプではないが、いつまでもグズグズしていられないという想いから、やや開き直っていたのだ。
いわゆる、お姫様だっこ状態で別荘内を進む。もちろんロマンチックな雰囲気は一切ない。なにしろ、おもらしのお姫様であるし……。
タオルの巻かれた下半身には極力目を向けないように気をつけつつ、夏輝さんを抱えたままバスルームを目指す。しかし、こうなるとわかっていたのなら一階の浴室にすべきだったと、少し後悔することになった。
いくら彼女が軽い(おそらくは45キロ未満)といっても、流石に二階まで運ぶとなれば大仕事だった。当方は根っからの文科系でありマッチョ要素はゼロである。
「危ないから、しっかりつかまってね」
階段を前にしてそう告げると。
「……」
彼女は黙ったまま首に回した腕に、きゅっと強く力を込めた。彼女の生々しい息づかいが、耳に当たるほど近い。