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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
そんな状況を前にした俺の心境としては、慌てたというよりも呆れたという方が正しいだろう。すなわちこの時点では、それほど驚いていたわけではなかった。
「あのさぁ……」
おそらく夏輝さんはドアの死角に隠れていて、俺がバスルームに注意を向けた時を見計らいドアを閉めて照明も落としたのだろう。
なぜ、そんなことをする? 他の誰かであれば、もう少し疑問に思うところかもしれないが、相手が夏輝さんだけに悪戯に違いないと即座に判断することになった。
そんな意味で、この何日かですっかり彼女のキャラは定着している。普段は陽キャであり誰に対しても分け隔てないので、現在の別荘での人間関係がほどよく保たれている(ように見える)のも、実は彼女のお陰であるところが大きい。
只、どういう理由なのかまったく理解しようもないが、トイレを限界まで我慢するという悪癖があり、そのせいで今回の〝粗相〟に至ってしまったわけだ。これを機に、今後は早めにトイレに行くとこを心がけてもらえるよう、切に願いたいものである。
「もう、悪ふざけはよさないか。大体、暗いところは――」
――苦手じゃなかった? ドアの方を振り向き、そう言いかけた時だ。
「お、お兄さん!」
「え? ちょっと――!?」
俺の胸中に、火照った素肌が飛び込んでくる。思わずその身体を抱き止めて、彼女が全裸のままであることを即座に理解した。
シャンプーやボディーソープの香りが、脱衣場に立ち込める湯気と混ざって、こちらの意識に妙な作用を促してくる。
「な、夏輝さん……は、離れてくれない」