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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
夏輝さんの様子は只事とは思えなかった。優先すべきは、彼女の興奮を収めること。
現在、電気の消えた暗い脱衣場で、彼女を廊下側のドアに押しつけた格好だ。そこで彼女にせがまれるままに、キスを繰り返していた。
ドアの脇を探れば、照明のスイッチには手が届くだろう。だが、灯りをつけることを、なぜか彼女は頑なに拒否していた。闇を恐れながら、そうする心理は不明だ。それでも彼女の意志に反するのは、気が咎められた。
それくらい、今の夏輝木葉は普通ではないと感じられる。
きっと、あの夜の彼女も今のように精神を乱していたのではないか。
それでも、数々の疑問は消せない。問い質すには、彼女を落ち着かせるのが先決だった。
「夏輝さん」
拒むから、求められる。ならば、逆にこちらから。その単純な仮説を元に、俺は彼女の華奢な身体を強く抱きしめた。
そうして押し潰さんばかりに、上から唇を重ねる。お互いに呼吸が難しくなるくらいに強く――。
「んっ……んっ……」
夏輝さんの身体から、がくがくっと力が抜けていくのを感じた。ドアで背中を滑らせるようにしてずり下がり、床の上にペタンと腰を下ろした。
ぷはっ――!
唇を離すと、俺も彼女も不足した酸素を求める。尚も、それぞれの両手は相手の身体を弄り、複雑に絡み合った。
そうする内、徐々に彼女の肌に体温が戻っていくように感じた。
はあ……はあ……。
息を整えた後で、彼女は言葉を発する。