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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で
「お、おい……?」
当然、こちらとしては困惑。だがそれ以上に、隣からの刺すような視線の方が気になった。
「へーえ……妹みたいとか言って、ホントはそういう関係なんだ」
さっきの殊勝さは影を潜め、瑞月は冷ややかな顔をこちらに向ける。
「違っ、これは……華火、ちょっと離れろって」
「えー? だってぇ、一人じゃ立っていられないんですぅ」
甘え口調の華火は、更にギュッと抱きついてくる。もちろん、こんなことは普段の彼女ならあり得ないこと。はじめての飲酒により、恍惚としたままなのだ。
「わ、悪いけど、ちょっとコイツ引き離すの手伝ってくれない?」
とにかく瑞月の手前、現状をなんとかしようと慌てる。傍らで見ている高坂さんに声をかけるが、ニヤニヤとしたままこんな風に返された。
「いいじゃん、そのままで。かわいい後輩なんだから、ちゃんと介抱してあげなよ」
すると華火も、俺の胸元に顔をスリスリと埋めながら、それに乗じる。
「そうですよぉ。介抱してくださぁい」
それによって、瑞月のイライラが更に募ったであろうことは言うまでもないだろう。
「……」
腕組みをして反り返ったように立つと、まるで汚物でも見るように俺を蔑んでいた。
只でさえ緊張感を孕んだ空気を更に張り詰めさせたのは、高坂さんだった。
「それにしても、管理人さんて――」
「え?」
「モテるんだね。年下にも」
何気なく発せられたその一言に、瑞月が反応。
「年下にも……?」
あえて〝も〟の部分にアクセントを置くと、瑞月は次に険しい視線を高坂さんに向ける。
高坂さんは微笑してそれを受け流すと、瑞月に言った。
「あ、そうだ。ついでだから言っとくけど。私、まだ帰らないからね」
「は?」
「フフ、管理人さんから許可をもらってあるし――ね?」
高坂さんからウインクを向けられたことで、再び瑞月の激しいプレッシャーが俺を襲う。