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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第5章 楽しい一夜の裏側で


 なにも、このタイミングでその話をしなくてもいいのに。内心でそんな風に思いながら、この場をどう収めようかと焦りを感じた時だった。

「オーイ! 戻ったぞー!」

 夜の庭先にひと際高く響いたのは、松川さんを伴って姿を現した夏輝木葉の声だった。俺としては一応、救われた格好である。

「木葉、平気?」

 と、瑞月に聞かれ。

「うん、全然。ホラ、まだまだお肉あるから、どんどん焼こーよ」

 手にしたトレイの肉を示しながら、夏輝さんは元気に答えた。と、そこまではよかったのだけど。

「あれ? 木葉、なんで着替えてるの?」

 彼女が部屋着姿で現れたことに、当然のように疑問が向く。

 俺は思わず息を呑んだ。だけど、こうして平然と現れているのだから、夏輝さんにしても言い訳くらい考えてあるはずと、そう思ったのも束の間のこと。

「ああ、うん。実はさっき、粗相をしちゃってさぁ」

「粗相?」

「アハハ! おしっこ漏らしちゃった」

 あっけらかんと衝撃のカミングアウトをする夏輝さんを前に、流石に自分の内なる想いを留めておくとこができなかった。

「言うのかよっ!」

 俺の魂のツッコミによって、場の空気がより変な感じになったのは言うまでもない。

 全員が揃い宴は再開されたのだが、明らかに妙な雰囲気を引きずっていた。それぞれの様々な感情を有耶無耶にしたままなので、そうなるのも仕方ないだろう。しかし、そうなると空気感の一切を無視できる彼女の出番ということなのか。

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