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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
まあ、いい(否、全然よくはないが)。今は、とにかく華火のことを優先しなければならない。現在、彼女はリビングのソファーで休ませてある。
酔いはかなり醒めたようだが、当然ながら原付で帰らせるわけにはいかない。とはいっても、俺の方も酒が入っているので車で送っていくのもNGだ。時刻は既に午後九時半を過ぎていた。
華火の家は父親が市役所職員、母親が中学校教諭と共に公職にあると聞いている。会ったことはないが、華火の生真面目な性格から鑑みるに、かなり実直な家庭であることは想像に難くない。
「さて、と」
火元の後始末を終えると、華火の様子を見にリビングへ向かう。華火はソファーに横たわると、うつらうつらとしていた。
「華火」
声をかけて、静かに肩を揺する。寝かしてやりたいが、その前にちゃんとしておかなければならない。
うーん、と唸りながらゆっくりと目を開いた華火は、俺の顔を見るなりギョッとした。
「りょ、涼一さん……!?」
「その様子だと、まだ酔いが残ってるみたいだな」
「い、いえ……もう、全然平気っすから」
華火は俺から顔を背けながら、言う。
その横顔を見て。
「無理するなよ。まだ顔が真っ赤だぞ」
「こ、これはっ……もう、お酒のせいじゃなくって」
「じゃあ?」
「と、とにかく――もう、大丈夫なんで、これで帰ります」
立ち上がり、そのまま玄関に向かおうとする華火の腕を、俺は咄嗟に掴み取った。