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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
「――はい、大変申し訳ありません。――ええ、娘さんは明日の早朝にでも、送らせていただければと。――はい、そのようにいたします。以後、このようなことがないように気をつけますので。――はい、それでは失礼いたします」
途中から代わった電話を終わらせると、俺は大きく息をついた。心配そうに見つめる華火にスマホを返しながら、声をかける。
「大丈夫だよ。事情を話して、なんとか許してもらえたから。今夜はここで休んで、明日の朝七時までには帰ってくるようにってさ。華火も、それでいいか?」
「も、もちろんです。すみませんでした、私のせいで……」
「さっきも言ったろ。華火はなにも悪くないんだから、気にすることはないって」
「は、はい……」
実際、華火から電話を代わった時は、冷や汗が全身に滲んだ。通話相手は想像通り彼女の父親であり、その声の重厚さに思わず怯んでしまったのである。
それでも幸い、必死に経緯を説明すると、なんとか一定以上の理解を得られたようだ。華火がバイト先の同僚として俺のことを常日頃から話していたこともあり、変に警戒されることはなかったのかもしれない。
そして、現在この別荘には妹が女友達を連れて遊びに来ていること、その中に俺以外の男は含まれていないことを、さりげなく伝えたことも結果としては効果的だったのだろう。少なくとも俺と二人きりなら、宿泊の許しが得られるわけがない。