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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
「あの、涼一さん」
「ん?」
「ど、どうも、ありがとうございました」
華火は改めて、丁寧に頭を下げている。
やや肝を冷やしたが、その甲斐はあったようだ。少なくとも、こんな素直な子に嘘をつかせるようなことにならなくてよかったと、今の華火をみて心底そう感じた。
さて、と。後は華火をどこに泊めるかだけど。と、そんな風に考えた矢先、リビングには後片付けを終えた面々が集まってくる。
最初に高坂さんから聞かれる。彼女はキッチンで洗い物をしながら、こちらの様子を窺っていたようだ。
「どうなったの?」
「まあ、なんとかね。彼女のお父さんにはわかってもらえたから、今夜はここで休んでいくことになったんだ」
「そう。だったら安心だね」
高坂さんはそう言って、華火に微笑みかける。
すると今度は瑞月が近づくと、いつになく神妙な面持ちで華火に言った。
「あの……ごめんなさい。私がお酒なんか注いじゃったから、こんなことに……」
「いえっ、いいんす。全然、気にしないでください。自分こそ間抜けにも、コップ一杯を飲み干すまで気づかないなんて。そのせいで、皆さまにはお恥ずかしいところを……」
華火は恐縮したように身を小さくして、そんな風に言った。
「というわけで、華火を誰かの部屋で泊めてもらいたいんだけど。布団は用意するからさ」
「涼一さん、いいっすよ。私なんて、ここのソファーで休ませてもらえば十分なので」
「そうもいかないだろ。特にこの辺りは標高も高いから、夏とはいえ朝方は冷える。この上、風邪でも引かせたら、お前の両親に申し訳が立たなくなるからな」
「じゃあ、華火ちゃん。私とつっちーの部屋に来る?」
「布団を敷くなら、和室の方が……? 別に、私の部屋でもいいけど……」