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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
とにかく今夜は、これでフェイドアウトさせてもらおう。俺は気配を断ち、そのまま地下の書斎へと逃げ込んだ。
それから暫くパソコンに向かうも、さっきついた嘘は現実とならず、一向にアイディアが浮かんでくれない。それでも数時間粘ったが集中が続かなかったので、上が静まった頃合いを見計らい風呂に入ると、それで休むことにした。
いろいろなことが頭を過ぎりそうになるが、今夜は一切を雑念を捨てることに決める。ベッドに横になると、そのまま疲れに任せて眠った。
ドアにノックの音が響いたのは、まだ夜が明けて間もないころだった。
――コンコン。
「……?」
気のせいかと思ったが、暫く間をおきノックは再びなされている。俺は眠い目を擦りながらベッドから起き出すと、ドアを開く。
ドアの外に立っていたのは高坂文水だ。
「あ、ごめん。管理人さん、来て」
「え? ちょっと」
高坂さんは要件も告げずに、俺の手を引いて階段を上がる。そして玄関から外に出ると、庭先を指さした。
「ほら、彼女もう帰っちゃうって言うから」
小鳥のさえずる早朝。原付の前でヘルメットを被ろうとする、華火の後姿を見つけた。