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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
「華火」
近寄って声をかけると、華火はあからさまに気まずそうな顔をした。すぐに下を向くと、光沢のあるアイボリーのハーフヘルメットで、その表情を隠す。
「黙って、帰るなよ」
「だ、だけど……」
「今、用意するから、簡単に朝飯を食ってからでもいいだろ」
「……いいです。ホントにもう失礼しますんで、どうか、かまわないでください」
いつになく頑なな態度の華火を前に、俺はため息をついた。
「昨日の電話で、お父さんにも送っていくと言ってあるからなぁ」
「そんなの、平気っす。親にはメッセージしてありますし、どちらかといったら迷惑おかけしたのは、こちらですから……」
華火は俺から視線を逸らしたまま、素っ気なく言った。
「なんで、そうなるんだよ。なにも迷惑なんてかけてないだろ?」
「でも、私……」
「とにかく、車で送らせてくれ、――な?」
肩に手を置きながら言うと、ようやく華火はこちらに視線を向ける。
「涼一さん」
「やっぱり責任的に、お家の人に直接話しておかないと」
そんな風に言うと、華火は少しすねたように言った。
「なんか、私だけ子供扱いするんすね」
「え?」