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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
夏輝さんの赤裸々な告白(二度目)を、瑞月が大声で打ち消す。そうして、本日の四人の予定は(俺的にも)無事に、ショッピングへと落ち着いてくれたのだ。
ほっと息をついた俺に対して、高坂さん、松川さん、夏輝さんの順で意味ありげな微笑を向けられた気がしたが、それは考えすぎだろうか。
まあ、ともかく。朝食後に四人を駅前に送って行くと、久しぶりに一人だけの時間が訪れる。これから夕方に出かけるまで、少なくとも六時間は小説に没頭することができそうだ。彼女たちがいる間は、この先も纏まった時間が取れる保証は一切ない。
こんな時こそ彼女たちそれぞれに対する身の処し方を決めておくべきおくべきではないか、といった考えも脳裏をよぎる。が、今は却下だ。どうせ少しくらい考えたところで、どうにもならなそうな案件ばかりである。
それに引きかえ、今書いている原稿は来月締め切りの新人賞に向けたもの。俺がなにをして過ごしていようと、時間は刻々と過ぎ去っていくのみ。早く第一稿を書き上げ、改稿と推敲に時間を割きたかった。
そうして雑念を振り払いデスク上のパソコンに向かうと、俺はほどなく作業に没頭する。己の指が打ち鳴らすキーボードの音と共に、心地よく時間は流れていった。
「ふう……」
頭の中で構想のあった場面まで書き進めると、小さく息をつく。時間を確認することさえ忘れ、こんなにも集中できたのは、いつ以来のことだろう。少なく見積もっても数日分に値する作業を、一気に終わらせることができたのだ。