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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
挨拶を返した俺に背を向け、マスターは華火に言った。
「それは俺がやるから、お前はもう上がれ」
「いえ、時間はまだ大丈夫ですから」
「いいから。支度があるんだろ」
「えっと、それは……そう、ですけど。じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて……」
華火はチラっと俺を見た後で、なぜかあたふたとしながら、マスターの現れたドアから店の奥へ姿を消す。それを見送ると、マスターは徐に振り向き俺の前にブレンドを注いだカップを置いた。
「ほらよ」
「……あの俺、今は一応、客なんすけど」
「だからなんだ?」
「マスターの威圧的な態度が、お客が寄りつかない一因じゃないかと」
「ハッ! それで、いいんだよ。どうせ、義理で続けてる店だ。気に喰わねー客なんて、いらねーよ」
「なんで、そんなに絡むんすか?」
「バーカ! はっきり言ってるじゃねか。お前の顔が、気に喰わねーってな」
そう言いながら置いた皿からサンドイッチを一切れ摘まみ、マスターはそれを自分の口に頬張った。