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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
そのすぐ後、松川さんが夏輝さんに顔を寄せて話す。
「瑞月ちゃんのお兄さんて、優しい人だね」
「うん、ホント。ウフフフ。でもね、それだけじゃなくてさあ――」
と、こっそり話してるつもりらしいが、その会話は俺にも、そしてたぶん終始不機嫌そうにしている瑞月にも聞こえていたことだろう。俺はわざとらしく咳払いをし、惚けた顔で缶ビールをあおる。
すると夏輝さんに、こんなことを言われた。
「ああ、そうだ。お兄さんは、私よりつっちーの方がタイプなんですよねー」
ごほっと今度は本気でむせ返った俺の代わりに、松川さんが声を荒げる。
「木葉ちゃん、あの時はぁ――」と珍しく大きな声で言いかけるが、周囲を見渡すと恥ずかしそうに小声になって「――単に夕食のお手伝いであって、どちらがタイプとかそういう話じゃなかったでしょう」
「でも、嬉しかったんじゃない?」
「それは、別に……嬉しいとかじゃ……というか、その……」
松川さんが顔を赤らめ、しどろもどろになっていると。
「管理人さーん。キッチン奥の食糧庫にワインセラーがあってさあ。中を覗いてみたら、いかにも高そうなワインがズラリと――」
酒を物色してきたらしい高坂さんが、数本のワインを手に戻ってきたのだけど、場の雰囲気を察すると。
「――なになに? なんの話?」
好奇心旺盛な感じで、話題にからんできた。
「ではぁ、文水さんが戻ったところで、改めて聞いてみましょう! お兄さんは、この中で今のところ誰が一番タイプですか?」
誰って? そう聞かれ、思わず一同の顔を見渡した。