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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に


 小麦色の肌に、ほどよくアルコールで赤みを加えて、健康的な美を宿した高坂文水。長い手足を大胆に露出し、ぴたりとした衣服はメリハリのあるスリムなボディラインを際立たせるようになぞってみせた。

 あくまでも控えめに鎮座する松川土埜は、眼鏡の奥の瞳を常におどおどと揺らしている。キッチンで図らずも意識させられたニット越しのたわわな胸は、油断すれば否応なくこちらの視線を釘付けにする。

 インパクトという点では突き抜けたのが、とある音とその前後の言葉で心を惑わせてくれた夏輝木葉だ。ニコニコと場のムードメーカーを担う愛らしい笑顔の裏で、どんな想いを抱いているのかは謎だ。

 バ、バカ……なにを考えてるんだよ。内心とはいえ、三人を見比べるような真似をしたことを恥じた。

 いよいよ酔いが回って来たせいで、思考が劣化してきたらしい。当然ながら、本気でこんな質問に答えるわけもなく。むざむざ答えた瞬間に、とんだ浮かれポンチに成り下がってしまうところだ。

 俺は女たちの酒の席で、肴にされようとしているだけ。もっと端的に言えば、体よくからかわれているのだ。

 それでもこの場合、彼女たちの興を完全には削がない程度に、適度に道化を演じてやらなければ。

「もう、勘弁してくれ……。こんな森の中にこもってるような変人相手に、タイプなんか聞いてどうするんだ。それとも、本気で誰かつき合ってくれるとでも――」

「調子に乗んなっ!」

 突如として叫んだ瑞月は、手にしていた缶酎ハイを一気にぐびぐびとあおった。そして飲み干したアルミ缶をぎちっと握り潰す。

 ソファーの上で胡坐をかき、頭をふらふらと揺らしながらも、その目は据わっている。間違いなく、かなり酔いが回っている。すねた表情は金髪に染めた髪と相まって、駄々をこねて泣き出す寸前のアメリカ人の少女のようなイメージだった。

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