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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき


「……」

 大きなスクリーンを前に、華火と肩を並べて座っている。別にマスターの言われたからではないが、二人の間にはポップコーンの大きな容器が置かれ、時折、それを摘まんでいた。俺自身、映画を観に来るのは久しぶりのこと。

 本来なら、仮にも小説なんてものを書く人間が、活字であれ映像であれ、読んだり観たりすることを怠ってはならない。アウトプットするためにはインプットが必要不可欠ということを、身に染みてわかっているつもりだ。

 単純にストーリー作りの参考にするという以上に、脳に刺激を受け発想のヒントを得るという方が、俺の場合はしっくりくる。もちろん日々読書は欠かさないが、根が出不精ということもあり、映画観賞の方は専ら動画配信サービスに頼りきりだ。

 本日観に来ている映画は、巷で話題になっているアニメ映画。アニメやマンガが好きな華火にとって、どうしても外せない一作だったようだ。

 隣で一心にスクリーンを見つめている横顔を眺め、思わず微笑ましい気分になる。華火は間違いなく、映画を楽しんでいるようだった。

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