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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
対する俺はというと、およそ半分まで観た感じでは、華火のように楽しめていないというのが正直なところ。アニメには特に詳しくはないが、これはいわゆるセカイ系というジャンルなのだろう。
運命的に出会った高校生の男女が、一度は過酷な状況下で引き離されることに。だが〝赤い糸〟を手繰るように互いを求めてさまよい、度重なる困難を乗り越え、ついには時空さえも飛び越えて、また二人は出会うのだ。
この後のクライマックスを経て、おそらくは最後に劇的に結ばれるという展開が予想される。否、いくつかのツイストを入れ単純な結末ではないかもしれないが、巷の評判では中高生に大いに受けているということなので、やっぱり最後はハッピーエンドを迎える可能性が高いはずだ。
なんて、これは創作なんてものに没頭する者の悪癖というべきだろう。娯楽として素直に楽しむより、つい物語の構造、たとえばどういう仕組みで感動させようとしているだとか、いかにして主人公やヒロインに感情移入させようとしているだとか、そういった製作側7の意図みたいなものが気にかかってしまう。
そうでなくても高校生の恋愛を描いている物語という時点で、本来なら敬遠対象だった。たぶんもう少し歳を重ねれば、素直に楽しめるのかもしれない。自分自身が、ようやく抜け出したあの痛々しい思春期のことを想起させられるようで、それがなんともむず痒いような気がした。つまり、映画の善し悪しではなく、俺の内面の方の問題である。