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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
この後、もう少しつき合ってほしい。華火からそう言われた時、なんとなくにしろ只ならぬ想いは、俺の中にも訪れていた。
「じゃあ……あ、そうだ。なんか食いに行くか?」
思いついたように言ったが、元々映画が終わったら、一緒に食事でもと考えていた。わざとらしい言い方になったのは、やはり自分の中にある種の予感めいたものがあったからだろう。
「いえ、昨日の今日なので、あまり遅くならない内に帰らないと……」
「そっか……そうだな」
昨夜のことは許してもらったとはいえ、華火の両親の手前、確かにそうすべきだった。
結果的には華火から食事の誘いを断られて、俺たちはなんとなく映画館の隣にある公園の方に歩いて行った。時刻は午後九時前。外灯の灯った人通りも疎らな園内を、華火と並んで暫く歩いた。
その間は微妙な気まずさが漂ったように、二人とも無言。こちらから話を振ろうと考えを巡らせるが、なかなか適当な話題が思いつかない。と、軽く悩んだ後で、俺は苦笑した。
現在適当な話題といったら、これしかないではないかと半ば呆れる。すぐに、思い当たったことを口に出した。
「面白かったか?」
「え?」
「映画」
「あ、はい。そうですね。私的には、とっても」
華火は心底、満足そうに言った。
華火がつき合ってくれと言ったのは、たぶん俺と映画の感想を語り合うためではないだろう。もちろん、公園を散歩するためでもない。それくらいは、わかっていた。
そう感じながらも、映画の話を続ける。