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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
別荘を四人が訪れてからの日々が、この何日かの淫らな行為の場面が、目の前にいる華火のピュアな気持ちを踏みにじっていくように感じて、俺は後ろめたさに耐え切れず視線を逸らした。
「涼一さん……?」
「いや……ち、違うんだ」
「違う?」
華火は頬を涙で濡らしながら、小さく首を傾げた。
もし、この告白を受けていたのが、もう少し前なら。仮に、四人が来る前にこの時を迎えていたら、俺はどう感じていただろうか。
この仮定はまるで無意味とまでは思わないが、そこに立ち戻ることができない以上、答は永遠に闇の中だ。だがこの時点において、自分自身の華火に対する想いを確かめようとしなかったことが、最大の過ちだったのは確かである。
とにかく必死に考えを巡らせたのは、華火をできるだけ傷つけないようにするため。彼女の気持ちに応える資格がない自分には、そうする以外にどうにもできないと決めつけてしまったのだ。
「なあ、華火」
視線を戻し、呼びかけると。
「はい」
再び、純真な眼差しで見つめ返されていた。
その上で発した己の言葉に、俺は心底辟易とすることになる。
「あのさ……か、華火の気持ちは、とても嬉しい。でも……俺のようなヤツには、なんというか、あまりにも純粋すぎて……というか」
自分でも情けないくらい、しどろもどろだった。
そして、仮にも小説家を目指そうという男が、なんという体たらくだろう。どこかで聞いたようなセリフを、なんの工夫もなくそのまま口にしているなんて……。
「涼一さん」
「え?」
「私、最初から期待なんかしてません。だから安心して、思い切り振ってやってください」
「か、華火……」
「大丈夫です。さっきも言ったように、へこむ準備なら、もうしてありますから。だから遠慮なんて全然いらないっす」
華火はそう言って、彼女らしくなんとも清々しく笑った。